街角から、クリスマスソングが流れてくる季節になりました。
西欧中世以来、イエス・キリストの生誕を祝って歌われたクリスマス・キャロルがクリスマスソングのルーツとも言われます。
時は流れて20世紀になるとラジオとレコードの時代になります。
ビング・クロスビー「White Christmas」の爆発的なヒット(通算5,000万枚以上売れて、世界で一番売れたシングル盤とも言われています)などもあり、クリスマス商戦を狙ったコンテンツとして、有名アーティストがこぞってクリスマスソングのシングルやアルバムを発売してきました。
一方でファンクラブ限定品として、あるいは枚数限定、シングルB面やライブのみの曲として地味に発表されるクリスマスソングも多く、普通の人や新規のファンはなかなか聴くことが出来ない幻の曲として語り継がれてきました。
今回はその後者について、多少掘り下げていってみたいと思います♬
①「KISSIN’ CHRISTMAS(クリスマスだからじゃない)」桑田佳祐/松任谷由実
1986年と1987年のクリスマスイブに日テレ系で放送された「Merry Christmas Show!」という特番がありました。
これは当時のニューミュージック系を中心とした人気ミュージシャンが一堂に会して、適当にコラボしながらクリスマスソングや洋楽の有名曲を唄うという、今ではとても考えられないバブルな番組でした。
BOOWYとアン・ルイスと吉川晃司とKUWATA BANDとTHE ALFEEが、同じステージでT.REXを唄ったりとか。
筆者は当時中学生でしたが、リアルタイムで観ていたのを覚えています。
(でも若気の至りで、チャンネル変えながらだったよなあ。今思えば勿体ない。)
この番組のエンディング曲として唄われたのが、この歌。桑田が作曲で、ユーミンが作詞。
ところがおそらく権利関係などもあり長らくレコード/CD化されず、まさに「幻の名曲」としてファンに語り継がれてきました。
今ではネットの時代となり、この映像を観ることも可能です。
ソロパートの歌唱順が、
桑田 →ユーミン →アン・ルイスとTHE ALFEE →泉谷しげる →忌野清志郎 →鈴木雅之、という豪華さ。
そして曲のクオリティの高いこと。あの時代のふたりの溢れる才能で一気に作ってしまった、ホントの名曲ですね。
2012年に桑田佳祐のベスト盤にスタジオで録音した音源が収録され、ようやくこの曲はファン以外の多くの人の知るところになりました。
②「Christmas Time」Bryan Adams
ただでさえ「クリスマスぽい雰囲気の声」の持ち主であるブライアン・アダムス。
この曲は当初はカナダ国内のファンクラブ限定でレコードが配布され、何故か日本でのみシングルCDが発売されたというもの。アルバムには収録され無かったため、一時期は世界中で幻の曲となっていたそうです。
もちろん音源はかつてはプレミア価格でした。ところが今や、iTunes Storeで250円で手に入るようです。これも時代ですなあ‥
③「クリスマスソングを唄うように」中島みゆき
こちらは音源は問題なく公式に手に入るものです。しかしファン以外はあまり知らない、ファンはみんな知っている。ちょっと哀しく「らしい」クリスマスソングです。
達郎にもユーミンにもクリスマスの代表曲があるのに勿体ない気もしますが、それも「らしさ」なのでしょうか。ライブ盤「歌暦」に収録。
④「Christmas time (is here again)」The Beatles
洋楽の世界ではエルビス・プレスリー、ビーチ・ボーイズ、ナット・キング・コール、ビング・クロスビー、フランク・シナトラなど、大御所たちがクリスマス・アルバムを出してきましたが、ビートルズはアルバムどころかクリスマスソングを一曲も出していない。
‥と筆者は思いこんでおりました。
ジョンには「Happy Xmas (War Is Over) 」、ポールには「Wonderful Christmas Time」という超名曲があるから、まあいいか、と。
ところが調べると、ファンクラブ限定で出したソノシート用のクリスマスソングがあったんですね!
遊びでつくったかの様なシンプルなこの歌。しかし作詞作曲がビートルズ4人名義の珍しい曲だそうです。(殆どの名義はレノン/マッカートニーだし、たまにハリソン名義だし)
これも公式音源化がなかなかされなかったものが、1995年の「Free As A Bird」 のカップリング曲として再び世に出たのでした。
話は変わりますが、まもなくジョン・レノンの命日、12月8日です。
クロスビーの「White Christmas」は第二次世界大戦中に発表され、米軍放送にリクエストが殺到して大ヒット。
その30年後にジョンの「Happy Xmas (War Is Over)」は「ベトナム戦争は終わった」と歌っているわけです。
まさに「歌は世に連れ 世は歌に連れ」。
そのジョンのクリスマスソングを、また30年後に桑田佳祐がAct Against AIDSでカバーしたりで。
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